- 移動平均線について基礎から徹底解説
- 移動平均線の種類や具体的な使い方を解説
- この記事を読めば、移動平均線のおすすめの期間やトレード手法、注意点や疑問点まで全て解決!
目次
FXの移動平均線(MA)とは何か
移動平均線(Moving Average)とは、一定期間における価格の平均値を線で表したテクニカル指標のことです。
使用している人が最も多いテクニカル指標と言われており、移動平均線の期間や本数は自分で選択することができるため、非常に自由度の高い分析ができる特徴があります。基本的にはそれぞれの時間足に合わせて「短期、中期、長期」の期間設定をする判断の材料になりやすいと言われています。
本来は、自分に合った期間に設定することが好ましいのですが、あまりにも自由度の高いテクニカル指標のため、初心者はどのような設定が良いのか悩むのではないでしょうか?
そこでこの記事では、下記の移動平均線の基礎知識を解説すると共に、移動平均線の基本的な手法や筆者のおすすめの設定値を紹介していきます。
移動平均線の基礎知識
- 移動平均線で分かること
- 移動平均線で分からないこと
- 移動平均線の種類
- 移動平均線の期間
移動平均線でわかること
移動平均線は主に次の3つを同時に判断することができます。
移動平均線でわかること
- トレンド:
移動平均線よりも価格が上にある場合は強気相場、価格が下にある場合は弱気相場
- トレンドの勢い:
移動平均線の傾きによってトレンドの勢いを見ることもできる
- トレンド転換:
移動平均線の位置関係によって、トレンドの転換ポイントを知ることができる
この3つのわかることをチャートで見ると以下のようになります。
トレンドの判断は、移動平均線よりも価格が上にあるのか、下にあるのかに着目します。移動平均線よりも価格が上にある場合は強気相場、価格が下にある場合は弱気相場であると判断します。
次に、移動平均線の傾きによってトレンドの勢いを見ることができます。
画像のように、右肩上がりで移動平均線が傾いているときは、非常に強いトレンドが出ていると判断します。一方、右肩下がりであれば、強い下落相場であることを意味します。
最後に、移動平均線の位置関係によって、トレンドの転換ポイントを知ることができます。
画像では、単純移動平均線(SMA)の25日と75日を使用し、その2つがクロスしたところに着目します。短期(画像では25SMA)が長期(画像では75SMA)を突き抜けると、トレンドが転換した可能性が高いと判断することができます。
トレンド転換については、移動平均線を使った手法で詳しく説明しているので、気になる方は「ゴールデンクロス・デッドクロス」の手法をご覧ください。
移動平均線で分からないこと
移動平均線は終値の「平均」を出したテクニカル指標であるため、その「平均」がチャートに現れるまでに時間がかかります。つまり、トレンドを判断するまでにタイムラグがある欠点があります。
画像は、2022年9月22日に起こった日銀の為替介入があったときのドル円のチャートです。このとき、移動平均線のみの判断では強気相場でした。
しかしながら、突然の為替介入により一瞬の内に下落が起こり、そのあとでデッドクロスが生じています。
このように、ファンダメンタルなどの急な値動きやレンジ相場では機能しないことがある事を認識して使う必要があるテクニカル指標です。
移動平均線の種類
移動平均線は価格の動きの平均の出し方の違いで様々な種類が存在します。
その中で初心者が最初に覚え、理解する必要がある移動平均線は単純移動平均線(SMA)と指数平滑移動平均線(EMA)です。
- 単純移動平均線(SMA):
単純移動平均線(Simple Moving Average)とは、対象とする期間において、価格の終値平均を算出したものです。移動平均線の中で算出方法が最もシンプルで、使う人が一番多いテクニカル指標と言われています。
- 指数平滑移動平均線(EMA):
指数平滑移動平均線(Exponential Moving Average)とは、直近の終値に重きをおいて、価格の終値平均を算出したものです。直近の影響を大きくしているテクニカル指標のため、トレンドの変化に早く気付くことができます。
画像のように、同じ移動平均線でも、種類によって若干反映される線が異なります。
移動平均線の種類を選ぶ基準は「自分の目線で移動平均線が機能しているか?」という事が重要です。相場の動きは世界共通ですが、見る人によって見え方が違うという特徴があります。極端な話、ある人はトレンド相場と思う部分でも、他の人はレンジ相場だと判断するくらい違いがあります。
そのため、後ほど解説する移動平均線の期間についても「ベースはあるけれど自分の目線が重要」となるのです。
その他の移動平均線
最初に軽く話したようにSMAとEMA以外にも、移動平均線は様々あります。代表的なプラットフォームであるMT4とTrading Viewでは次のような移動平均線が標準で表示可能です。
基本は終値を単純に平均化したSMAですが、単純移動平均線では見えないポイントやわからない点を補うため派生したと考えると良いでしょう。
どの移動平均線が「使える」「使えない」は自分で判断するしかありません。まずは表示して検証することから始めるのが近道と考えます。
移動平均線の期間
移動平均線の期間は、特に「短期:5日、21〜25日、中期:60〜75日、長期:100〜200日」が、特に意識されています。
ここで言う「意識される」とは、多くの投資家が注目しているため、移動平均線を境に価格が反発するなど、テクニカル指標が機能しやすいということです。この期間を参考に、自分が普段見ている時間足によって、一番合うと思う期間を設定すると良いでしょう。
ただし、あまり最適化してしまうと融通の利かないテクニカル指標となってしまうので、ある程度の目安にする程度に考えた方が相場判断の幅が広がるので覚えておいてください。
しかしながら、1から自分で考えるのは難しい!という方は、後程紹介する「筆者がFXでおすすめの移動平均線はSMA」から使ってみてください。
移動平均線を用いたFXの手法
移動平均線は1本〜数本を組み合わせてトレードの判断基準として使うテクニカル指標です。
この組み合わせ方、判断方法を6つ紹介します。
移動平均線を用いたFXの手法
- ゴールデンクロス・デッドクロス
- サポート・レジスタンスライン
- パーフェクトオーダー
- グランビルの法則
- MTFでの環境認識
- 他のインジケーターとの組み合わせ
それでは一つずつ詳しく説明していきます。
ゴールデンクロス・デッドクロス
ゴールデンクロス・デッドクロスは、期間の異なる2本の移動平均線を使い、クロスした位置をもとに買いか売りかを判断できます。
この手法は、主にトレンド転換を判断するときに有効です。
ゴールデンクロスやデッドクロスは、非常に有名な移動平均線を使用した手法ですので、ぜひ使用しているチャートでも確認してみてください。
サポート・レジスタンスライン
移動平均線は価格が反発するポイント(サポートライン、レジスタンスライン)として機能することがあります。
移動平均線に価格が反発して、さらに上昇(下降)すると、トレンドは勢いを増していきます。
短期の移動平均線を価格が抜けても、長期の移動平均線によって反発することもあるので、どういうときに反発しているかなど分析してみるのも、勝てるようになる1歩です。
パーフェクトオーダー
短期、中期、長期の移動平均線が順番に綺麗に並んでいる状態のことで、強いトレンドが出る可能性が高い手法です。
パーフェクトオーダーは、特に短期、中期、長期の移動平均線の順番がバラバラになっているところ(レンジ状態)から、綺麗に並んだ(トレンドが現れた)ところが狙い目です。
ぜひ、普段見ているチャート上でもパーフェクトオーダーを探してみてください。
グランビルの法則
グランビルの法則とは、移動平均線(MA)の傾きと、価格の位置関係に重きを置いた分析方法のことです。
初めて聞いた方は、少し難しく感じられるかもしれませんが、下記の表と画像のように「8つのポイント」を整理するとわかりやすいはずです。
買いポイント
番号 | 移動平均線の状態 | ローソク足の終値 |
---|
① | 横ばい~上向きになり始めた | MAを上抜け |
② | 上昇 | MAを下抜け後、上抜いたとき |
③ | 上昇 | 上昇しているMAより上にあり、 MAに近づいて下降したが、タッチせず再度上昇 |
④ | 下降 | 下降し始めたMAを下回り、MAと 大きく乖離したとき |
売りポイント
番号 | 移動平均線の状態 | ローソク足の終値 |
---|
⑤ | 横ばい~下向きになり始めた | MAを下抜け |
⑥ | 下降 | MAを上抜け後、下抜いたとき |
⑦ | 下降 | 下降しているMAより下にあり、MAに近づいて上昇したが、タッチせず再度下降 |
⑧ | 上昇 | 上昇し始めたMAを上回り、MAと大きく乖離したとき |
このように、移動平均線を使用した売買ポイントは8つあります。
しかし、個人的にはこの中で、買④と売⑧は逆張り手法となるため、損切は必ず設定し、深追いしないようにすることが必要だと考えます。
MTFでの環境認識
MTF(Multiple Time Frame)とは複数時間軸(マルチタイムフレーム)のことです。
画像では左がドル円の15分足チャート、右が日足チャートです。15分足には日足のMTFの移動平均線(MA)を表示させています。画像では、日足25MTF MAと25単純移動平均線(SMA)がデッドクロスになったところで、強い下落が生じていることがわかりますね。
このように、MTFでMAを利用すると、ゴールデンクロスやデッドクロスで今後の大きなトレンドを予測することができます。
MTF MAを使った応用編
MTF MAを使用すると時間足を変えることなく一つのチャート上に、他の時間足の移動平均線を表示させることができます。他の時間足も考慮し環境認識を一つのチャートですることができるため、ダマシに合いづらくなります。
画像のように、上位足の移動平均線を一つのチャートに表示させることで、環境認識がしやすくなります。上位足の移動平均線で価格が反発しており、多くの投資家が注目しているポイントが分かりやすく便利な移動平均線です。
他のインジケーターとの組み合わせ
移動平均線は他のテクニカル指標と組み合わせることができます。
オシリエーター系や移動平均乖離率を使用したトレードなどもあるので、自分が使いやすいテクニカル指標と合わせたり、ロウソク足やチャートパターンと組み合わせることで勝率は高まる可能性があります。
下記では、ストキャスティクスと、移動平均乖離率を使用した手法をご紹介します。
移動平均線とストキャスティクスとの組み合わせ
画像では、単純移動平均線でトレンドが出たときに、ストキャスティクス(規定値ではなく、筆者の経験上、期間は10,3,3に変更している)と組み合わせると、良いタイミングでエントリーをしやすくなることがあります。
移動平均線とストキャスティクスを組み合わせると、エントリーポイントの判断がわかりやすくなるので、参考にしてみてください。
移動平均線と移動平均線乖離率との組み合わせ
移動平均乖離率とは、価格が移動平均線から離れすぎているかどうかを見てエントリーする方法です。
移動平均乖離率も、ストキャスティクスと同様に、エントリータイミングを測りやすくなりますが、逆張り手法であるため、深追いは禁物です。
筆者がFXでおすすめの移動平均線はSMA
移動平均線は種類によって特徴が少しずつ違い、期間も自由に選択できるため、どれを設定したらよいか悩む方も多いと思います。
そこで、筆者の考えをお伝えすると、SMAがおすすめです。
理由として、移動平均線の中でも一番使用されているものだからです。つまり、大勢が注目しているため、SMAの方が機能しやすいと言えます。では、なぜ大勢が注目していると、機能しやすいのか。それは、FXは投資心理を読むことが勝つためのヒントとなるからです。
FXは機械によって価格が形成されるものではなく、投資家が自らの身銭を切って売買するものであるため、チャートは投資家心理によって形成されるといえます。だからこそ、「多くの投資家が移動平均線を見て売買判断をしている=チャートがその方向に動きやすい」のです。
以下で筆者がおすすめする各時間足ごとの期間設定を紹介しますが、実際は過去検証などで自分に合ったものを検証し、きちんと自分自身で納得してから使用した方が良いです。
なぜなら、同じ手法を使っていても、使用する人が違えば見え方が全く異なることがあるため、自分に合ったものを探すことの方が大切かつ勝つ手法に近づきます。それを踏まえて、以下で各トレードスタイルでおすすめとその理由を紹介します。
移動平均線の期間設定を変更することで、エントリータイミングは変わってくるので、普段どの時間足を見ているかに合わせて期間を設定してみてください。
スキャルピング編
スキャルピングとは、数秒〜数分で完結するトレードのことです。スキャルピングで使用する際のおすすめ期間設定は「5、25、75」です。それでは、わかりやすいように画像を見てみましょう。
このようにパーフェクトオーダーがしっかり機能していますね。スキャルピングは数秒〜数分のトレードですので、期間は短い短期〜中期でみる方が画像のように機能しやすいです。
デイトレード編
デイトレードとは、1日で完結するトレードのことです。デイトレードで使用する際のおすすめの期間設定は「25、75、200」です。
こちらも画像を見てみましょう。
こちらもパーフェクトオーダーがしっかり機能していますね。デイトレードは1日で完結するトレードですので、期間は中期~長期でみる方が画像のように、機能しやすいです。
スイングトレード編
スイングトレードとは、数日〜数週間で完結するトレードのことです。スイングトレードで使用する際のおすすめ期間設定は「75、100、200」です。
最後に、こちらも画像を見てみましょう。
スイングトレードは、数日〜数週間で完結するトレードですので、期間は中期~長期でみる方が画像のように機能しやすいです。
よくある質問
最後にFXでの移動平均線の使い方等に関しての質問にQ&A形式で解説していきます。
移動平均線のみで勝てますか?
実際、移動平均線とチャートのみで勝てているトレーダーも中にはいます。
しかし、通貨によっても機能しやすさは異なるので、過去検証を行い実際に自分や使用通貨に合っているか確認することが大切です。
おすすめの移動平均線が機能しないこともあるのですが
投資に100%はありません。
機能しないこと(ダマシ)があったり、通貨によっても期間の調整が必要な場合もあります。
ご自身の感覚によって期間をアレンジすると、より勝つ確立が高いものを見つけられるかもしれません。
手法がありすぎて、何からしたらいいかわかりません
まずはやってみたいと思うものから、過去検証をすることをおすすめします。
過去のチャート数年分(筆者は5年分程)を分析し、テクニカル指標が機能しているかどうかを確認します。
その上で別の手法に変えるか、アレンジを加えるなどをすることで、自分が納得できる手法を見つけることができます。
情報ソース:FXGT公式ブログ / ThreeTrader公式ブログ